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'08 YNC 第5節 川崎F vs 札幌(等々力) [喜]

多くの人が待ち望んでいた「我那覇和樹復活祭」。
試合後のインタビューで目頭を熱くし、
言葉を詰まらせる我那覇に観衆も思わずもらい泣き。
等々力でまた一つ、後に語り継がれるであろうドラマが生まれた。



「大卒ルーキートリオ」がこの時期に揃ってスタメンに名を連ねるいう
『関塚フロンターレ』時代には考えられない見所はあったものの、
今日もほとんどチャンスらしいチャンスがなかったゲーム序盤。
しかし待ちわびたその瞬間は突然訪れた。
バイタルでタッピーからの横パスを受け、
足を滑らせたDFをかわしてシュートコースを作ったガナールは右足を一閃。
その弾道は雨の中に虹を架けるかのように美しい放物線を描き、
まるでシュート練習のようにしっかりとそして確実にGKの横を抜けネットに刺さった。
ゴールが決まるとすかさず自らのユニフォームを脱ぎ、
背中の「9」をメインスタンドに向けて掲げるようにアピールした。


オレの記憶の限りでは、
ガナが試合中に感情を激しく表に出したところを見た覚えがない。
良く言えば紳士的、悪く言えばおとなし過ぎるそんな選手が
警告を覚悟してまで断行したパフォーマンス。
No.9のレプリカユニフォームを持つオレの心に響かないわけがない。


これまで度々触れてきたが、
日本のマスコミはシュートの「率」ではなく「量」だけでFWを評価する傾向が強い。
しかし‘太陽’との兼ね合いもあってガナはFWとしてはシュート数が少ない。
当然、メディアからの評価は高い(適当)とは言えなかった。
しかしオレの中では彼は今でも川崎イレブンのベストメンバーの1人。
なぜなら他のどのFWよりもジュニとの生かし生かされる関係を構築していることに加え、
個としてもその決定力の高さは群を抜くものがあるからだ。
日本人得点王に輝いた一昨年は「ゴール/シュート数」が1/3を超えていた。
これは世界を見渡しても驚異的な数字である。
つまり「量」ではなく「質」、確率を重視すれば、
外国籍選手も含めて「決定率」ナンバー1のJリーガーは我那覇だったのだ。
記者が気付かなくても当時のオシム監督はいち早くそこに目を付けた。


またこれはおそらくオシム氏も気付いていなかった事実だろうが、
川崎は我那覇が得点した試合での勝率が極めて高い。
我那覇のゴールはチームを勢い付かせ、勝利に導く効果がある。
いわば「縁起物」としての価値も持ち合わせているのだ。


そして最も注目すべき点は、
我那覇という選手は節目のゲームや大一番に強い。
注目度の高いゲームであるほど、舞台が大きければ大きいほど、
不思議と我那覇の得点が生まれる可能性が高い。


(当時)関西勢悲願の初タイトルを阻んだ降格決定後のセレッソ戦、
長男誕生直後にプロ入り初のハットトリックを達成した水戸戦、
J2史上初となる総得点三桁を記録した2004年にはその記念すべき100点目をゲット、
窮地のオシムジャパンを土壇場で救ったイエメン戦など、
覚えているだけでも枚挙に暇がない。
試合全体ではほとんど消えていてもなぜか得点を記録する。
こぼれ球を詰めただけでも、ただ自分の前に転がってきただけでも、
結果的にゴールを決めたりしてしまう。
個人的には昨年、目的地まで後一歩のところまで辿り着いておきながら、
結局1回も初タイトルに手が届かなかった最大の原因は、
「ここぞ」で自らの存在価値を最大限に表現する
我那覇の不在、不調によるのではないかと思っている。
(残念ながら川崎でのテセはビッグマッチで結果を残せなかった)

これらの特長はおそらく持って生まれたモノだろう。
それはアスリートならば誰もが欲する貴重な才能であると言える。

反面、チームが好調なときなどはあまり目立った活躍はしない。
そういう時でも最低限の仕事はしているものの傍から見ていると、
『別に自分が点を取らなくても・・・』、『ジュニに任せておけば・・・』
と、思ってプレーしているにさえ見える。
とにかく、我那覇という飄々としたストライカーからは、
得点を狙う強い執念、ギラギラした欲が感じられない。
強引にでもシュートを打つ(打ってしまう)テセとは実に対称的である。
(ガムシャラさが伝わるテセに先発の座を奪われても仕方のないところか・・・)

もちろん、彼もFWとして常にゴールを狙っているのは間違いない。
だが、普段の温厚な性格や必死さが見えない表情も災いしてあまり伝わってこない。
だからシュート数が少ないことが度々批判の対象になってしまう。
見ている者にどこか物足りなさを感じさせてしまう。
どんなに価値の大きい「1ゴール」を決めていようとも・・・。

それでもチャンスで自らのシュートを選択するかどうかは、
彼の調子を計る上で1つのバロメータと言える。
積極的に自分でシュートを打つ時は概ね調子が良い。
逆に無難に(消極的に)ジュニに渡してしまう時はあまり良くない。

これはあくまで傾向にすぎないが、
彼の調子を見極めたい時の参考にはなるだろう。

では今日の我那覇は?
点を取るまでは明らかに前者だった。
が、点を取った後は完全に後者になってしまった。

(久しぶりでもジュニとの絶妙な連係を見せたことには唸らされたが)
1点取ったことで安心してしまったのかもしれない。
張り詰めていた気持ちが切れてしまったのかもしれない。
ただでさえマイペースな彼のこと、
ピッチの内外を問わず長期間苦しみ抜いた末にようやく決めた1点で
安堵感や満足感に浸ってしまっても不思議ではない。
「さらにもう1点!」という貪欲さを保てれば、
2点、3点取れていてもおかしくなかった。
その辺が彼らしいと言えば、らしい。
個人的には今日くらいはジュニに遠慮しないで、
「ハットトリックしてやる!」くらいの気持ちを見せてもらいたかったが、
それができない(しない?)辺りに彼の人間性が表れている気もする。
相変わらず良くも悪くもマイペースで憎めないヤツだ。
でもその「余裕」が出てきたことは今の彼にとって悪いことではないと思う。


いずれにしろ、今日の1点は「リスタート」の合図。
反撃開始を告げる「狼煙」にすぎないのだから。

我那覇の本当の逆襲はここからだ。

今すぐ通過召集しなくていいの!?岡ちゃん!


それにしても、
今日の試合をチェアマン(Jリーグ幹部)やキャプテンが見たらどう思うだろうか?
(見せようとしても頑なに拒絶するかもしれないが)

中小クラブの一選手では到底負担できない金銭的障害(妨害)の数々にも屈せず、
泣き寝入りすることなく正々堂々と法的手段を用いて立ち向かって来られた結果、
結局は『たかが選手』に自分たちの間違いと理不尽を公に認めさせられ、
Jリーグはその傲慢な実態の一端をスポーツ界のみならず世間一般にまで晒し、
かつてないほど大きなイメージダウンを強いられることとなった。
その上、マスコミの注目が集まった裁定直後の試合でその選手がヒーローに。
彼らにとってはハラワタが煮えくり返る思い、屈辱以外の何物でもないだろう。
そしてもはや世論がどちらの味方であるかなど言うまでもない。

それでもまだ自らが望んだ「世界基準」での結論に、
「英文誤訳」という形で「ダダをこねている」ようであるが、
いたずらにこの問題を長引かせれば追い詰められるのは彼らのほうだろう。
我那覇の潔白とJリーグの罪(過失)は明確に証明されたのだから。

潔く「全てこちらが悪かった」と全面的に非を認めて、
即座に然るべき行動に移ったほうが印象悪化に歯止めを掛けるためには得策だ。
保身やプライドに固執してこのままそれを拒否し続けていれば、
彼らに残された最後にして唯一の道は引責辞任以外になくなるだろう。



cf) スポナビ(江藤氏のコラム)
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